状況

亡くなった先代の名義のままとなっている土地につき、固定資産税を支払うばかりの状況をどうにかできないか、との相談。

司法書士の提案&結果

解決方法は、土地を現金に換えることでした。

上記のような状況に陥った原因は、相続人間での話し合い=「遺産分割協議」がまとまらなかったことにありました。
もともと価値のある遺産が土地1筆のみであって、遺言もなかったのです。
相談者は、市役所に自らを納税管理人として届け出て、毎年の固定資産税を支払ってきましたが、他の相続人の一部が土地の権利について一切譲らなかった結果、相談者の負担ばかり膨らみ続けることになりました。
そこで、土地なればこそ皆に都合よく分けられないのであって、いっそ現金に換えてわけてしまおう、という考えに至ります。
しかしながら、土地を現金に換えるにも、それに沿った遺産分割協議をまとめることが必要ですが、感情面での問題から全く前に進みません。
その間、他の相続人において代変わりがあったことにより、その土地について権利を有する者の数が20名を超え、しかも全国各地に散らばっている状況になってしまいました。そのため、遺産分割協議を進めようにも、そもそも全員に連絡をつけることができなくなってしまいました。
そこで採った手段は、当事務所が書類の作成でサポートすることによる家庭裁判所への遺産分割調停の申立でした。
そして、その申立の際には、「この土地を第三者に売却して、代金を各自の相続割合に応じて分配する」というとことを提案しました。当然、相談者がそれまでに負担した固定資産税については代金の分配額に加えておくことも条件としました。
裁判所への申し立てというと気か引ける人も少なくありませんが、相手方からすれば、これをなかなか無視できないものです。
実際、調停の手続に入ると、それまで話し合いに応じようとしなかった相続人も参加し、また、連絡のつかなかった相続人の大半からは、相談者へ権利を譲るとの申し出を得ることができました。
結果として、相談者に売却を任せるということになり、売買取引の成立後、その代金を分配して解決となりました。